腫れや炎症・痛みを和らげたり、熱を下げる作用がある非ステロイド系解熱鎮痛剤の中でも、特になじみが深いのがロキソニンです。
風邪やインフルエンザの発熱・頭痛の抑制といったものから、腰痛や歯痛・手術後の鎮痛作用まで、非常に広い範囲で利用されています。
非ステロイド系の薬品の中でも群を抜いて効力が高く、また副作用が出る確率が低いため、安全性が高いといった特徴もあります。
ロキソニンが開発された背景を紐解き、風邪や喉の痛みへの効果、腰痛への作用などを詳しく学んでいきましょう。

ロキソニンの誕生経緯

体温計と薬 ロキソニンは、フェニルプロピオン酸系の非ステロイド性解熱鎮痛剤です。
服用後に消化管より吸収されて、優れた鎮痛作用や抗炎症作用、解熱作用を発揮します。

現在の販売元である第一三共株式会社がこの薬を開発したのは、1980年代のことです。
同社では鎮痛・抗炎症・解熱作用の効力が強く、また副作用がつきものである消化管障害をできるだけ弱めた薬の研究・開発を続けていました。
数ある芳香族プロピオン酸誘導体を調合・合成した結果、ロキソニンの成分である「ロキソプロフェンナトリウム水和物」が高い薬効と比較的低めの副作用、そして物性的にも安定な化合物であることが解明し、商品化へと進めました。

ロキソプロフェンナトリウム水和物の開発が進み、1986年3月に製造販売承認が取得され処方箋として扱われるようになります。
当初は関節リウマチや変形性関節症・腰痛症、肩関節周囲炎・頸肩腕症候群といった症状の消炎・鎮痛効果や、手術後や外傷後および抜歯後の消炎・鎮痛効果を目的に使用されていました。
1997年6月には、急性上気道炎の解熱・鎮痛効果についても製造販売承認を取得することとなります。

その後、2003年10月に日本口腔外科学会より、歯の疾患による疼痛への使用を求める要望書が厚生労働大臣宛に提出され、2年後の2005年12月には歯痛の消炎・鎮痛効果の追加承認も取得することに成功しています。
効き目が強いため調合ミスや医療事故を防止するために、2009年6月から「ロキソニン錠」を「ロキソニン錠60mg」へ、「ロキソニン細粒」を「ロキソニン細粒10%」へと販売名の改名がなされています。
なお、これまでロキソプロフェン製剤は劇薬指定がなされていましたが、2010年1月に解除され現在に至ります。

ロキソニンの効果(風邪)

風邪で震える女性 ロキソニンには解熱・鎮痛効果がありますが、急性上気道炎に対しても同様の効果が得られます。
急性上気道炎と言われるとピンと来ないかもしれませんが、一般に言い替えれば風邪症状のことを指します。
風邪によって発症する諸症状に主に効果があるとされています。

風邪の症状は、鼻から鼻腔・鼻咽腔や咽頭・喉頭にかけての鼻や喉全体である上気道にウイルスが侵入したことで発症します。
これに伴い鼻や喉に炎症を起こして、鼻水や咳・喉の痛みといった症状を引き起こします。
また、前駆症状や初期症状に発熱も挙げられますが、ロキソニンにはこれらの鼻・喉の炎症を抑えたり、解熱作用があり風邪症状に有効です。
薬局で販売されている市販薬・ロキソニンSの添付説明文書にも、効能効果として咽頭痛も挙げられています。

また、風邪による頭痛や上気道の炎症、発熱の他にインフルエンザによる頭痛・高熱にも効果的です。
抗インフルエンザ薬や抗生物質など、原因となるウイルスそのものを攻撃したり活動を抑制する薬ではなく、病気が元で発生した頭痛や高熱・炎症などを和らげる対症療法薬ではあるものの、高熱によって体力の低下を招き重症化を防ぐ大事な役割を果たします。

インフルエンザの時には特に、ロキソニンやアセトアミノフェンといった解熱鎮痛剤を用いて熱を下げます。
タミフルやリレンザなど抗インフルエンザ薬による原因治療と、同時進行させるのが一般的です。
ただ、注意したい点はこの治療法は20歳以上の成人に適応するもので、5~19歳の未成年には副作用の危険性が高く、別の治療法が用いられることを覚えておきましょう。

おさえておきたいポイントとしては、ロキソニンは発熱や頭痛、喉や鼻の炎症といった感冒(風邪)やインフルエンザなどの病気が引き起こす「症状」に効く対症療法薬であるという点です。
ロキソニン自体にウイルスを退治したり増殖をストップさせる作用はないため、別の原因療法(風邪の場合は体力の回復)を必ず併用する必要があります。

ロキソニンの効果(喉の痛み)

風邪でのどが痛い女性 元々、鎮痛作用を期待して開発されたため、ロキソニンには喉の痛み・炎症を抑える力があります。
風邪の諸症状など、炎症を起こして唾を飲み込むことすら辛い場合、特に効果が見込まれます。

ロキソニンが効く仕組みは、体内の炎症や痛み・発熱を引き起こす原因物質「シクロオキシゲナーゼ」を減らす働きによるものです。
ロキソプロフェンナトリウム水和物を経口摂取することにより、胃粘膜の消化管から成分が吸収されて、抑制作用の強い活性代謝物「trans-OH体」へと変換されてシクロオキシゲナーゼへと作用し、プロスタグランジン生合成を抑制します。
胃に入る瞬間は未変化体の状態で辿り着くため、胃粘膜への刺激も弱く副作用も抑えられています。

服用後、効果が現れ始めるのは約15分頃からです。
遅くとも60分以内には発現するとされており、服用した半数は約30分程で効果を実感するという報告があります。
痛み止めとしての効果は、服用してから5~7時間は持続します。

対症療法薬であるため、感冒だけでなくインフルエンザの際の喉の痛みにも有効です。
喉が痛くて水分や食物を飲み込むことが困難である場合、症状による体力低下に併せてさらに抵抗力が弱まる原因となるため、医師の指示や用法用量に反しない限りは薬効に頼るようにしましょう。

また、熱が上がりきらないうちにロキソニンを服用すると、大きな効果が得られない可能性があります。
発熱は体内の細胞がウイルスと戦うことにより起こる症状で、熱が出ることでウイルスは減少していきます。
このメカニズムを無視して、熱が上がりきっていないうちに(目安としては38℃以上)解熱剤を服用すると、ウイルスにとって活動しやすい環境のままとなってしまいます。
ウイルスは変わらず活動しているため、熱や痛みが一時的に消えても薬効が切れてしまうと、再び喉の痛みも現れます。
医師や薬剤師の指示をしっかり厳守するようにしましょう。

ロキソニンの効果(腰痛)

ロキソニンの主成分であるロキソプロフェンナトリウム水和物には、開発当初の目的通り高い消炎・鎮痛効果があります。
腰痛をはじめとして、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛やリウマチ、筋肉痛・腱鞘炎、テニス肘などの肘の痛み、打撲・捻挫などその効力は広範囲に及びます。

風邪や喉の痛みで使用したように、内服薬(錠剤タイプ)でも効き目がありますが、患部がはっきりとしている場合は貼り薬タイプの「ロキソニンS」を利用すると良いでしょう。
薬剤師が常駐する薬局で市販されているため、処方箋よりも手軽に入手することができます。

ただ、ロキソニンが効力を示す腰痛には条件があります。
腰痛の種類は、ストレスによるものや日々の姿勢の悪さから発症する慢性的な腰痛、ぎっくり腰や外傷による急性的な腰痛の2種類に大別されますが、ロキソニンが効果を発揮するのは後者の急性的な痛みに関してです。

先述の通り、ロキソニンは解熱鎮痛消炎剤であるため、患部の炎症を抑えたり、痛みや腫れを和らげる作用を有します。
痛みを発生させている原因を取り除く薬品(原因療法薬)ではなく、あくまで原因となっている病気が生み出す症状としての痛み・炎症を和らげる薬品(対症療法薬)です。
そのため、3ヶ月や半年かけて蓄積された痛みや病気から来る痛みに対しては原因を取り除かない限り痛み止めの効果は薄くなります。
しかし、ぎっくり腰や外傷の場合は痛みや炎症自体が原因であるため、大きな薬効が期待できるということです。

したがって、肩こりから来る肩の痛みや首の痛み、高負荷による筋肉痛や関節痛も同様に、痛み自身が原因であるため炎症鎮静作用が有効となります。
リウマチなどの病気が招く痛みの緩和に関しても、病気の改善にこそなりませんが、激しい痛みを和らげる大事な働きが期待できます。